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1994春の旅(3)ロンドン [1994春ヨーロッパ初めての一人旅]

5/9(月)

 前日は一日バスツアーに参加してロンドンから離れ、イギリスのカントリーサイドの観光をしました。個人旅行で一人旅は初めてでしたから、英語に慣れる意味でも良かったかも。さて、この日は本来の目的に戻り、宿泊したストランドパレスホテルから徒歩数分のコートールド美術館へ。入り口の看板なども見つけられず、迷って テムズ川に架かる橋まで行ってしまいました。

☆コートールド美術館(初)

 ストラッドのサマセット・ハウス内に設けられている美術館。正式名称はロンドン大学附属コートールド美術研究所 の美術館といいます。美術史と美術の保存の研究では世界的に良く知られています。実際この研究所からは著名な美術史家や画商、アートジャーナリストなどを輩出しています。余談ですが、当時放送大学に在籍して「美術史と美術理論」の講座をとっていて、初めてここの美術研究所の存在を知りました。
20年以上も前の訪問なので、大部分の記憶が薄れていますが、印象派と後期印象派の部屋は見ごたえがありました。

セザンヌやゴッホのほかはスーラの「白粉をはたく若い女」(下)。スーラ唯一の肖像画であり、モデルは画家の恋人とのこと。スーラの点描法はまじかに見ると、気が遠くなりそうな緻密さです。画家の作品に対する愛着とともに、自分の理念を追求する姿勢は並大抵でないことを、肌で感じ取ることができます。32歳という若さで亡くなったスーラの名画にはロンドン、オランダ、パリとこのときの旅で次々に出会うことができました。

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 マネ「フォリー=ベルジェール劇場のバー」(上)はこの美術館の目玉でしょう。華やかな社交場の雰囲気、人々のざわめきが聞こえてくるようです。中央女性の人体構成からみた姿勢に無理があると、指摘されることが多いのですが、凛としたポーズはとても魅力的。

↓セザンヌの「キューピッド像のある静物」1895

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ほかはルノワール、ゴッホ、ロートレックなど。

 館内のカフェでサンドイッチのランチを済ませ、宿泊したホテルの前からバスに乗車。トラファルガー広場から南下して2Kくらいのテート・ギャラリーへ。テームズ川に面して建つ威風堂々たる建物。大英帝国風の偉そうな感じだな~と大階段を登って行きました。入館フリーなので、まあいいか・・・。

☆テート・ギャラリー(初)
当時ここのコレクションだった現代アートはテート・モダンに移りましたので、現在はテート・ブリテンと呼ばれています。
ここでのお目当てはラファエル前派と呼ばれる19世紀のイギリス・ロマン主義の絵画です。
何点かはパリのオルセーなどでも観たことはありますが、なんたってこちらが本場ですから、ほぼ一直線で展示室に向かいました。暗い赤い色の壁に飾られてミレイJohn Everett Millaisの「オフィーリア」(下)、狂気のうちに川に浮かんで逝った「ハムレット」のオフィーリアの白い顔。緑の藻や背景の木々も美しく、一瞬のうちに悲劇の物語の世界に引き込まれました。

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↓Dante Gabriel Rossettiロセッティの「ベアータ・ベアトリクス」1863-70/ラファエル前派の画家ロセッティの代表作。1862年に亡くなった妻がモデル。ファム・ファタルを題材の作より、こちらの方が好きです。

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 ここにはターナー専用の別棟がありますが、あいにく建物を修復中でクローズでした。それでも主な作品は本館に展示されていて、↓「ノラム城、日の出」や「吹雪・アルプスを越えるハンニバルとその軍勢」などの大作を鑑賞できました。迫力ある吹雪や嵐の描写にドラマを組み合わせたものが特に想像力をかきたてられ好きです。

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 他の展示室のなかで異彩をはなつのはの照明を落としたWilliam Blakeブレイクの部屋です。一連の色刷り版画のシリーズはブレイクの最高傑作とされています。
↓「アダムを創造するエロヒム」1804-05 ペン・水彩・紙

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「哀れみ」「ニュートン」「ネブカドネザル」なども、一度観たら忘れられません。
詩人でもあったブレイクのイメージは神秘的。その独自性を理解するには、文学や哲学からのアプローチが必要なのでは・・・。テイト・ギャラリーを訪れてからブレイクのことが気になりながら、そのままになっていましたが、某カルチャー教室でブレイクの文学の方面からのアプローチの講義を受けたことがあります。講師はE・H・エリオット研究で有名な北大名誉教授の本田錦一郎先生でした。(2007.1死去)学究肌の愛すべきお人柄の先生でした。ご冥福をお祈りいたします。ブレイクを観るたびに先生を思い出しています。

詳しいことは忘れましたが、モダンアートも特別展があり、天井の高いギャラリーで大型の彫刻やインスタレーションなど。現代美術鑑賞に慣れていない私にとっては珍しいモノばかりでした。

夜はコンシェルジェに紹介してもらって「ミスサイゴン・観劇ツアー」(ディナー含め50£)に参加しました。近くのレストランに集合して、アジアンの夕食(スープ、野菜たっぷりの春巻き風、コーヒー)。そのあとドルリーレーン劇場でミュージカルの「ミス・サイゴン」を観ました。参加者は数名。イギリスの地方から参加したおばあさんは席が悪いと言って文句たらたら・・・1階の中段正面でしたが。初めてのロンドンのミュージカルを見てうっとり。ヒロインは若くて可愛い中国系のミュージカルスターでした。

帰り道は劇場の集まるエリアにしては暗かったのですが、急ぎ足で徒歩数分のホテルに戻りました。


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alice

寒中お見舞い申し上げます。ここのところの3月のような暖気も終わり、明日からは最高気温もマイナスという真冬日になるようです。
寒いことに加えて、義兄(満88歳)が年明けから入院し、1週間ほど前から危篤状態になっています。先週末は長女と共に函館までお見舞いに駆けつけました。共働きだったので、姉夫婦には休みに子供たちを預かってもらって、大層お世話になりました。「もう治療はいいよ」というのが意識のはっきりしていた時の最後の言葉だったそう・・・それから昏睡状態が続いています。
このようなわけで、外出は控え家に閉じこもっております。たまっていた本を読んだり、ブログを更新したりの日々です。

by alice (2015-01-28 01:57) 

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