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1994春の旅(4)ロンドン [1994春ヨーロッパ初めての一人旅]

5/10(火)

 この日の午前中はピカデリー・サーカスの老舗カフェでお茶をした後、2階建のバスで、セルフリッジデパートまで行きました。その建物の右角の横丁を行くと小さな緑地(マンチェスター・スクエア)があり、その向こうの門構えのある3階建の館がウォレス・コレクションです。写真がありませんのでGoogle Earthから拝借。

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☆ウォレス・コレクション(初)

 元はある侯爵のプライベートコレクションでしたが、子孫からイギリス政府に寄贈され、この館に美術品を移して公開されています。ここのコレクションで一番の充実を誇るのはフランス18世紀のロココ絵画。ヴァトー、フラゴナール、ブーシェなどの粒よりの名画が揃い、見ごたえがあります。
なかでもフラゴナールの「ぶらんこ」(左)は画集で見たのとは、ひとあじもふたあじも違う素晴らしい色彩。その完成度の高さ、油を流したような艶の表面は輝くようです。ちょっぴり卑猥な悪戯っぽい題材などは、少しも気にはなりません。この絵のなかのブランコの美女の若さと大胆さに、現代的な女のしたたかさも見えるのが、微笑ましくもあり、なかなか面白いと思いました。そしてロマンティックな「追憶/恋人の頭文字」(右)初々しく詩的な画面が魅力的です。

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 また、ヴァン・ダイクの「マリー・ド・レ」(下左)は美しいけれど憂いのある表情が印象的。背後にある物語を想像してしまいます。

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 ここで思いがけず、カルロ・クリヴェッリの小品をみかけました。上右の「聖ローチ?Saint Roch」なにげなくメムリンクの天使と対にされ、めだたないコーナーに飾られていました。説明もついてませんでしたので、本物のクリヴェッリなのかどうかと半信半疑でした。数年後、ある方のご好意でクリヴェッリの全集をゲットしたのですが、長い間疑問に思っていたこの小品が間違いなく画家の作品と知りました。思いがけなく出会ったことになります。

今のように情報の多くないときでしたので、実際に訪れてはじめてわかることも多かったのです。これだから美術館巡りはやめられないと、ますますのめりこんでいきました。
それは違う意味で美術館巡りの醍醐味だったような気もするのですが・・・時代は変わりました。
現在はできるだけ見落としのないようにNETでチェックしてから訪れるようになっています。

 ピカデリー・サーカスに戻り中華そばと揚げワンタンのランチ。そしてナショナル・ギャラリーへ。

☆ロンドン・ナショナルギャラリー(3)

 ロンドンへは2年連続で訪れたことになります。ロンドンの街が好きというより、ロンドンの美術館が気に入ったからですが、特にこのナショナルギャラリーのコレクションに魅せられたといって良いでしょう。なにしろ、展示品の水準は1点も見過ごしにできないほど高く、それがどっさりあるのですから、相当な体力と集中力が必要な美術館なのです。幸い入場無料なので疲れるとホテルで休息し、また訪れるという鑑賞方法をとりました。今回も半日づつ2回訪れました。

 今回はイタリアルネッサンスを重点的に鑑賞することにしました。昨年から気になっていたカルロ・クリヴェッリはさきほどウォレスコレクションで小品を見かけたこともあり、興味大でした。西館から入館して大階段を登ると、一番目立つ場所に「サン・ドメニコ多翼祭壇画」(左)が、胸が躍らせ突入~!(笑)右は「ツバメの聖母」(オドーニ祭壇画)玉座の上にツバメ(キリストの受肉の象徴)が描かれていることに由来。宝冠やベール、衣装も豪奢な聖母です。

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 ↓ナショナルギャラリーのクリヴェッリの中でもぴか一人気の「受胎告知」。この時もグループのガイドさんが説明中でした。日本からのツアーはここでは立ち止まらないでしょうね

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 美術史家のロベルト・ロンギが題名をつけたというGiorgioneジョルジョーネの「日没」(下)、薄暮の風景のなかに見逃しそうな白い馬に乗る聖ゲオルギウスと手前に旅人。宗教的な主題よりも画家にとって大切な・・・詩情あふれる風景に胸が迫る想い。下の画像はWEBより拝借。

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 ↓Paolo Uccelloウッチェロ「フィレンツェ軍を指揮するニッコロ・ダ・トレンティーノ」1456/182×317   ウッチェロの代表作サンロマーノの戦い3部作のうちの1枚。他の2枚はウフィツィとルーヴルにあります。3枚の中でここの作品は一番素晴らしいと思います。18世紀後半までメディチ家の所有でしたが、19世紀半ばに英、仏に流出。

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↓Leonardo da Vinci レオナルド・ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」(左)。ルーヴルにある「岩窟の聖母」(右)のレプリカとの論もあります。それで2枚並べてみました。絵葉書

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↓ レオナルドといえばMichelangelo Buonarrotiミケランジェロも外せませんね。「キリストの埋葬」(1510頃)162×150。未完成ですがミケランジェロの彫塑的な特徴が表れています。この作品は画集でも見た覚えがなかったのと、よくある主題を扱っているのですが、宗教的な雰囲気からも遠く、なにか超越した不思議な画面。ローマのファルネーゼ家旧蔵。

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 続きはまた明日~と退出。夕食は疲れのためホテル内のレストランで。前菜、ローストビーフ、デザート。評価は△でした。


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