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1997夏の旅(10-1)ヴェネツィア [1997夏ザルツブルクとヴェローナ夏の音楽祭の旅]

8/31

この日は3島巡りをするというツアーから離れて、独りで歩きました。7年前には時間切れで未訪問だったアカデミア美術館~ペギー・グッケンハイム美術館~サンロッコ同信会~フェラーリ教会~コッレール美術館とヴェネツィアの美術の見どころをせっせと訪問し、充実の一日になりました。

☆アカデミア美術館gallerie dell'Accademia(初)

 この美術館はここヴェネツィアの絵画と彫刻の学校(アカデミア)のために1750年に創設されました。その後のヴェネツィア共和国の崩壊(1779年)とイタリア王国への編入(1805年)を経て、閉鎖された教会や修道院からのコレクションや名家からの寄贈、そしてのナポレオンの略奪品の返還も加わり拡大。収蔵品の増大に併せて、展示室の増築、パッラーディオ設計の回廊も加わりました。1882年には学校から分離され独立。現在はヴェネツィア絵画の14~18世紀を網羅する展示を誇っています。

イタリア・ルネッサンスのなかでも大きな勢力を持つのが、フィレンツェ派とヴェネツィア派です。素描重視のフィレンツェ派に対してヴェネツィア派は色彩と言われています。15世紀のヴィヴァリーニ一族、ベッリーニ一族、クリヴェッリ、カルパッチョから16世紀のジョルジョーネ、ティツィアーノなど多くの画家が活躍しました。彼らの作品の多くは世界に散らばりましたが、このアカデミア美術館にも傑作が残っています。何といってもヴェネツィア派の絵画を現地で鑑賞できるのはわくわくする体験でした。

14世紀前半の代表的画家Paolo Venezianoパオロ・ヴェネツィアーノのビザンチン様式とイタリアの新様式を融合させた「聖クララの多翼祭壇画」から始まり、ベッリーニ一族のAntonio Vivariniアントニオ・ヴィヴァリー二、そして、ヴェネツィア派の始祖Jacopo Belliniヤコポ・ベッリーニと2人の息子Gentile&Giovanniたち。なかでもジョバンニはヴェネツィア絵画を確立したことでスター的存在です。姉の夫となったマンティーニャやフランドル絵画から大きな影響を受け、色彩豊かで柔軟な独自のスタイルを生み出しました。当時のヴェネツィアで最大の工房を経営、弟子のジョルジョーネやティツァーノによって盛期ルネッサンスへの道が開かれました。

↓ そのジョヴァンニ・ベッリーニの大作「聖ヨブのいる祭壇画」(サン・ジュセッペ祭壇画)471×258、玉座の聖母子を中心に聖会話形式をとり、上部モザイクからの温かい光が照らす空間、下部の奏楽の天使たちの自然で無垢な表情など、素晴らしい~!

1806-Giovanni_Bellini_-_Pala_di_St_Giobbe.jpg

↓同じくジョヴァンニ・ベッリーニの「聖カタリナとマグダラのマリアの間の聖母子」58×107の右に描かれたマグダラのマリア(絵葉書部分)。黒い背景に優しい光、浮かび上がる美しいマッダレーナの静かな祈りの姿。キリスト教的古典美の頂点に到達した作品。

Gベッリーニ2.jpeg

そして、ここで見逃せないのがジョルジョーネGiorgioneです。さきほどでも触れましたがジョヴァンニ・ベッリーニの弟子から始まる輝かしい画歴は35歳ごろの突然の死によって中断されてしまったのです。そのため作品は少なく、未完成の作品はティツィアーノほかが完成させたものもあり、作者帰属に議論が続きました。最近は「田園の奏楽」や「眠れるビーナス」はティツィアーノの作とされています。宗教や物語のテーマよりも風景や人物の詩的情緒の表現に重きをおく画法は近代的な概念を打ち出したものと言えるでしょう。そのなかでも主題不明の作品として知られているのが

↓ジョルジョーネの「嵐テンペスタ」82×73 (絵葉書部分)

ヴェネツィア6.jpeg

この作品は「老女」とともに照明を落とした奥まった展示室で観ることができました。

他にはカルパッチョの「聖ウルスラ物語」のシリーズ、マンテーニャの「聖ゲオルギウス」、ヴェロネーゼの大作「レヴィ家の饗宴」、ティントレット「聖マルコの遺体の窃盗」など見応え十分。

↓一番印象的だったのはティツィアーノの「ピエタ」352×349です。画家の最後の作とのこと(未完のためパルマ・イル・ジョーヴァネが完成)。「色彩の錬金術といわれた大胆な筆触の色彩豊かな技法から晩年の画家が最後に到達した精巧な抑制の色調、燃えるような光の中での悲劇は心打つものがありました。(画像はNETから拝借)

picture171332368131991.jpg

 大好きなクリヴェッリとピエロについては次回に(1999年再訪)。

 次は家々の間を流れる細い運河に架かる橋を渡り、ヴェネツィアの現代アートのギャラリーへ。カナル・グランデ大運河からが表玄関ですが、私は裏側の庭園のほうから入館。ヴェネツィアでは滅多に見られない広い緑の空間に、わ~リッチ!

☆ペギー・グッケンハイム・コレクションColleczione Peggy Guggenheim(初)

 ペギー・グッケンハイムはアメリカの大富豪ソロモン・グッケンハイムの娘で、父の収集した美術品をNYのマンハッタンに美術館をつくって公開しました。その経営手腕もさることながら、駆け出しの現代芸術家を庇護し、早くからその作品を収集した先見の明は素晴らしいです。20世紀前半のキュビズム、シュルレアリスム、未来派のコレクションは邸宅として住んでいたヴェネツィアの家で、彼女の死後美術館として公開されています。

 表玄関にはマリーノ・マリー二の彫刻「The Angel of the City」(絵葉書)

ヴェネツィア2.jpeg

 ペギー・グッケンハイムが住んでいた当時の面影を大事にした展示なので、彼女の寝室のカルダーのモービルやブランクーシの彫刻など垂涎もの。客間などにはピカソ、タンギー、ブラック、

↓ダリ「タイトルなしUntitled」(絵葉書)

ダリ.jpeg

↓キリコ「赤い塔」73.5×100.5(絵葉書)

キリコ.jpeg

ディシャンなどの名品がズラリ・・・。そうそう彼女の元夫だったエルンストの作品もあったと記憶しています。絵葉書も買ってありました。

↓エルンスト「花嫁の着衣」129×96

エルンスト.jpeg

続きます~


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