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1999春(13&14.15)ダマスカス~帰国 [1999春シリア・ヨルダンの旅]

4/26(月)

  旅の最後の日になりました。夜中の飛行機で出発しますので、ほぼ丸一日ダマスカスの観光です。バスでカシオン山に登り、街の眺望。ここカシオン山は旧約聖書の創世記のなかで、カインがアベルを殺した場所(人類最初の殺人と言われる)として知られています。

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 カシオン山の麓には前のアサド大統領の要塞のような官邸が建っていて、説明に寄りますと滞在しているかどうかは秘密になっているそうです。

★ダマスカス/古代都市ダマスカスは4000年以上の歴史を持ち、アッシリア、バビロニア、ペルシア、ローマ帝国の支配下にありましたが、7世紀にイスラム教のウマイヤ王朝の首都になり繁栄。旧市街を囲む城壁は1世紀にローマ時代に建設されたのですが、その後幾度も改築されています。旧市街は迷路のような狭い道が続き、ウマイヤドモスク、アゼム宮殿、スークなどがあり、徒歩で観光できます。

 そして新市街のダマスカス国立博物館へ。旧市街西側に建つ博物館は、入り口前の広い庭園に石像や列柱などが配された堂々たる構え。ここでは久しぶりに日本人の観光客とすれ違い、私のツアーの男性が挨拶して「どちらからいらっしゃったのですか?」となにげなく尋ねましたら、いきなり相手のシニアの男性が怒り出して、びっくり!別に住所を聴いたわけでもなく、東京とか北海道とか言えば済む話ではありませんか・・・。ああいう人と一緒のツアーでなくて良かったわ~。

★ダマスカス国立博物館/紀元前500年以降のヘレニズム、ローマ、ビザンティン、イスラム各時代の作品を展示。代表的な蒐集品にウガリトの出土品、ドゥーラ・エウロポス出土の「シナゴーク壁画」、同地出土の「コノーンの供犠図」、パルミラ出土の「ヤルハイの墓」など。

始めはガイドさんについて、シナゴーク壁画など観て回っていましたが、膨大な円筒印章や粘土板の部屋ではぐれてしまいました。でも探す時間も惜しくなるほどのコレクションですから、勝手に鑑賞することにしました。記憶も薄れ資料(絵葉書が行方不明)もほとんどないのですが、参考書のアンドレ・パロ著『シュメール』から

↓マリ出土「大歌手ウル・ニナ」BC3000年前半(右は後姿)

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↓ドゥーラ・エウロポス出土の「シナゴーク壁画」(部分)Netから拝借。「出エジプト記」のモーゼがナイル川から拾われる場面

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 一番印象に残ったのはウガリトからの出土品で頭は獅子、体は鷲の小さな置物(墓の副葬品?)でした。前年ロマネスクの旅で見かけた柱頭彫刻にそっくりだったのです。パルミラ・ベル神殿のロゼッタ模様の天井といい、オリエントからヨーロッパのロマネスク美術に与えた影響はエミール・マールが「我々がフランス全土を遍歴してロマネスク教会のひとつひとつの前に立つとき、我々はただちに、その図像、その秘儀的要素、その比喩の中にオリエントを見出して驚かないだろうか。かって東方の博士たちが幼児イエスになしたように、キリスト教に贈り物を贈ったのは、全アジアである」と書かれています。

 さて時間になり館外へ、入り口周辺に皆さんの姿・・・「すみません~!」と駆け寄ると、「誰も心配していませんでしたよ。あなたは慣れていらっしゃるから」って(汗)。またバスに乗り旧市街へ。

↓旧市街の通り

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↓水売りの道具。いくら暑くても買いません(笑)

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↓ケバブ屋さん

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↓街角風景

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↓ミナレットが見えました。ウマイヤドモスクへ。

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★ウマイヤドモスク(大モスク)/ローマ時代の神殿~キリスト教会堂の建てられた場所に8世紀初めに建設。中庭を囲んで礼拝堂と回廊があり、壁面はビザンティン風のモザイクで飾られています。

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 ↓大モスクに入るには、女性は茶色のチャドル風コートを着用しなければなりません。暑いうえに汗臭くて閉口しました。

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↓礼拝堂はビザンティン宮殿建築に倣ったもの

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↓イスラムの預言者でもある洗礼者ヨハネの首が収められている祠が堂内にあります。西欧人もお参りしていました。

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↓モスクの周辺も散策

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↓ ランチはモスク近くのウマイヤド・パレスレストランにて。レストランの前の通り。

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 食後はアゼム宮殿へ。オスマントルコ時代の領主の館で、現在は民族資料博物館になっています。

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↓ダマスカスは絹織物の産地。工芸が盛んでした。

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↓キリム屋さん

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↓街角風景

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↓聖アナニア教会へ

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↓聖アナニアの地下教会には聖パウロが回心した様子の描かれた板絵が飾られていました。写真禁止。

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↓聖パウロ教会はバスの中から、ちら見だけ。

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 この後はスークで自由時間でしたが、何も買うものがなくぶらぶらしただけ。

↓ダマスカスのスーク。アレッポに比べるとやはり現代の市場風。

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 夕方になりホテルに戻りました。夕食はホテルの最上階の回転展望レストランで。旅の最後の晩餐を楽しみ、10時過ぎにダマスカス空港へ。アレッポで購入したオリーブ石鹸が重く、重量制限ギリギリ(当時は30K)で、パス。真夜中の1時頃KLMにて空路オランダへ。

4/27(火)→アムステルダム5:45/13:00→

 早朝にスキポール空港に到着しました。乗り換えの時間を利用して、希望者だけ添乗員さんと空港駅から列車でユトレヒトへ。運河の流れる静かな街並みを散策。行きたかった美術館は遠いとのことで諦め、お茶したりのんびりしました。午後のKLMで帰国の途へ。

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4/28(水)→千歳6:30到着。道内組5人は飛行機を降り、他の方たちは名古屋まで。空港からバスで帰宅しました。旧宅は国道36号線に近く、空港バスを利用することが多かったです。

 17年前の旅のうえにツアーでしたから、地理や遺跡や出土品の記憶もあいまいで、Google earthや検索、ブログのお仲間の旅日記も参考させていただき、なんとか終わらせることができました。いつものお気楽な旅日記と言いたいところですが、シリア内戦やISイスラム国の台頭などがあり、貴重な遺跡の存在自体が危ぶまれています。Google earthでパルミラのベル神殿が跡形もなく破壊されている画像には涙を禁じえませんでした。いえ、それ以上にシリアの人々の失われた多くの命に、難民の方たちの苦難に、せめて心だけ沿わせたいと思います。シリアに一日も早く平和が訪れますように(終)。


タグ:ダマスカス
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コメント 2

yk

旅行記完成おめでとうございます。
私自身のHPも見直し乍ら あらためて思い出に浸りました。
私の行ったツアーで残念だったのは、ドゥラ・エウロポスがはいっていなかったこと。これは勿論承知の上、レバノンの遺跡を見たかったからです。両方いければよかったのですけれど、あとアリーチェ様もいらしてらっしゃらないようですが、アレッポ近くのサン・シメオンも行っていないのが残念です。
それにしてもここ何年かの中東の恐ろしい動き、行っておいて良かった、などと口にするのはばかられる有様。アリーチェ様も可愛い女の子たちのお写真をのせていらっしゃいましたが、本当にあの子たちどうしているのでしょうね。胸を痛めても何もできなくて、つらいです。
ご主人様、体調がよろしくないのでしょうか? 私の方は92歳の母が入院、よくなりましたが、今度転院して老健でリハビリを続けることになりました。私の旅行も様子見です。私自身の旅行可能年限も迫ってきている感じですのでちょっと焦り気味です。
ご主人様よくなられますよう。  
by yk (2016-03-17 19:24) 

alice

Ykさま  ありがとうございます。ドゥラ・エウロポスとマリは行けましたが、レバノンはバールベックだけでしたし、何よりもサン・シメオンが入っていなかったのは同じく残念でした。当時は前アサドの強権政治とはいえ、国内は安定していて、イラクの方がフセインの独裁政権で治安が悪化していました。マリがそのイラクとの国境まで20Kという距離で、少々怖かったくらいで、平安な旅の日々と現在のシリアの現状にギャップがあり過ぎて、どーすることもできないしと、辛いですね。
夫は長年続けている薬の副作用で貧血がひどく、一時は入院になるかもと危惧していたのですが、ここのところ数値が良くなり小康状態を保っています。お陰様で、なんとか1週間ほどは出かけられそうです。ドイツのイースター音楽祭がメインの5泊です。今回のブログで書きましたが、アレッポ博物館関連のものもベルリンにあるそうなので、観てきたいと思い楽しみにしています。
by alice (2016-03-18 13:16) 

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