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1996初秋の旅(2)チューリヒ~バーゼル [1996初秋ヨーロッパ鉄道の旅]

9/1(日)

 朝から小雨模様の一日でした。9月になったばかりなのにコートが手放せなく、ヨーロッパは秋になるのが早いのかも・・・。

↓ホテルの前で

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宿から近いチューリヒ湖畔の散策や↓チューリヒ歌劇場の前で。いつかここでオペラを見る日が来るのでしょうか?などと思いつつ

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 トラムに乗って中央駅へ。日本で購入してきたユーロ・パスにヴァリデイトの刻印をもらい、チッキの窓口を確認して一安心。この後はリマト川右岸の丘に建つチューリヒ美術館へ向かいましたが、日曜日のパレードに遭遇。タクシーもトラムも来ません。結局徒歩30分くらいかかってようやく到着。

☆チューリヒ美術館Kunsthaus Zurich(

 他の多くの美術館のように王族たちによるコレクションを基にしたものと違い、チューリヒの市民の熱意によって誕生、100年に及ぶ努力の結果、1910年に開館しました。
玄関横にはロダンの地獄の門。みかけの割りに内部は広く、中世の木彫りから現代アートまで見ごたえのある美術館です。ここはスイスで活躍したセガンティーニ、ホードラー、クレーなどのコレクションのほかに特別室にジャコメッティ財団による彫刻の展示があります。

↓ホードラー「Heilige Stunde 1」1907  182×223 晩年の作

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↓地下にさりげなく展示されていたボナール「ヨットの上のシニャックと彼の友人たち」1924/25  124×139

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↓ジャコメッティ「台座の上の4人の女」1950 彫刻のほかにも多数の素描あり。彫刻家のドローイングは優れたものが多いのですが、ジャコメッティのはまた特別に印象深いものでした。

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 他にもフュースリやベックリン、マッケ、シャガールそれにここで初めて知ったノルデなど。昼過ぎの列車でバーゼルまで行くので、途中でタイムアウト。坂を下って徒歩数分のホテルに戻り、スーツケースを受け取りチューリヒ中央駅へ。重いスーツケースはチッキでローザンヌ駅に送り、6泊分を持ってホームへ。この時乗車したのはChur始発でAmsterdam終着の「EC 2Rembrandt」という国際特急列車でした。

 Zurich HB12:49→Basel SBB13:51

 ほぼ1時間の汽車の旅。チューリヒの駅で購入した中華のテイクアウトで車内ランチ。食べたものをこの旅ではスケッチ風にメモを残していましたので、下手ですがスキャンしました。中華ですからニンニクの匂いがプンプン。幸い1等車はがら空きでしたから、肩身の狭い思いはしないで済みました。

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バーゼル/ホテルヨーロッパ 1泊

 お部屋も広くて立派なホテルでした。部屋に荷物を置いてひと休みの後、レセプションの女性にほめられて気を良くした娘のドイツ語をたよりに歩きました。バーゼル美術館までは路面電車で行きました。橋を渡ると古い重厚な教会などが見え、歴史のある街らしい佇まいです。けれども、美術館の見学だけで、街の散策をする暇も体力も残らなかったのは残念でした。

門を入った前庭にはロダンやカルダーの彫刻が飾られています。内部は思いのほかガラス窓が大きく、自然光のなかでゆったり鑑賞できます。日曜日で入館は無料だったのですが、近代絵画の方は閉鎖されていて残念!

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☆バーゼル美術館Kunstmuseum Basel(初)

 ライン河畔の都市バーゼルは通商の要として繁栄し、ヨーロッパ有数の文化都市として16世紀には黄金時代を迎えます。印刷業で財を成した豪商の一族のコレクションをバーゼル市が1661年に購入、ヨーロッパで最古の美術館を開設。中世から20世紀に至る質の高い作品、特に15、16世紀の上部ライン地方とネーデルランド絵画、そしてホルバインは圧巻です。

ここで初めて知ったスイスで活躍したヴィッツ(Konrad Witz 15世紀のドイツの画家)。代表作の「人間救済の鑑の祭壇画」があります。こういうタイトルの祭壇画は初めて。上段が旧約聖書、下段が新約聖書で、それぞれの画面が呼応するという構成なのです。中世の予型論の書物『人間救済の鑑』を典拠に製作されたとのこと。ヴィッツの特徴はその自然な写実性。描かれる顔の表情もどこかのどかで愛嬌があります。↓「アンナとヨアキム金門での出会い」 と 「シナゴーク」折れた矢を持つ盲目の女人が旧約の寓意。

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↓の絵葉書はホルバイン(ドイツ・ルネッサンスの画家)の「ホルバインの妻と2人の子供」。画家はバーゼルに家族を残し、イギリスに単身赴任していました。一時帰国したときに描いた作品。ヘンリ-8世の宮廷画家をつとめ、描いた絵画は王や妃達、富裕な階級の人々の肖像画、宗教画が多いのです。そのなかで彼の妻子の絵画は異彩です。夫の留守がちな家庭は決して幸せそうに見えません。あまり裕福そうにも見えません。画家と視線を合わせないこの家族の生気のなさから連想されるのは病とか死・・・「死の舞踏」の大規模な壁画があったバーゼルの街、そしてここの美術館のもう一枚のホルバインの描いた「墓のなかの死せるキリスト」。ホルバインの作品の底に流れる精神はやはりバーゼルにあったのでしょう。
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キリストの屍の変色しつつある手足が丁度目の前。あまりのリアリズム表現に辟易しながらも鑑賞。このとき気が付いたのはキリストの顎の部分。何故か不思議な尖り方に見えました。後日高久先生の講座で観たある写本(名前忘れ)のなかの死せるキリストがこの顎の形をしていて、ホルバインが参考にしたことは確かなようです。私の発見!と思ったけれど(笑)

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↓ベックリンの「死の島」1880  111×155 画家の作品中最も人気の高いもの。全部で5点のヴァージョンがあるそうです(うち1枚は第二次大戦中に焼失)。

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↓ホードラー「ニーゼン山」1910  83×105.5

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クラナハ、グリューネヴァルト、ショウガウアー、パッヒャーなどドイツ系の画家たちのほかにもピサロ、ゴッホ、ゴーギャン、セガンティーニ、シャガールなどの名画に魅了されました。

それにしても物価の高いスイス・・・ブックショップでいつものように絵葉書を何十枚と購入したのですが、1枚が150円くらいで、合計額を聞いて「えっ?お金ない」と泣く泣く何枚かを戻しました。
この旅の終わりに訪れたスペインの3倍以上の値段だったと記憶しています。

 小雨の中トラムでホテルに戻り、ホテル近くのビヤレストランで夕食。メニューは上部に貼りましたが、3皿注文して分けて食べたのですが、二人でお勘定は8000円!しかも私の評価ではABCのうちの不味いのCでした。人気ブログランキングで
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