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1998秋の旅(6)トゥールーズ(モワサック&ミディ運河クルーズ) [1998秋フランス中部ロマネスクの旅]

10/19(月)

 雨のそぼ降るオルレアンから始まった旅も今日で6日目です。オルレアン以後は天候に恵まれ、この日も青空の広がる秋らしい爽やかさでした。朝食後、トゥールーズから北西へほぼ70Kのモワサックへ。ガロンヌ川を渡り、サン・ピエール修道院付属教会に到着。ここは今回の旅でもハイライトのひとつ、ロマネスク初心者の私でもわくわくするような憧れの教会です。教会の西側に(i)があり、その横から聖堂北側の回廊に入りました。

☆サン・ピエール修道院付属教会Ancienne Abbatiale St-Pierre

 起源は古い(伝説では6世紀とも言われる)のですが、現在のものは1180年の奉献(ただし身廊西部の4柱間のみが現存)。7~8世紀のイスラムの侵略や9世紀のノルマン人来襲などで荒廃した教会は11世紀になってから教会の再建にかかり、聖堂西側の鐘塔つきナルテックスは1120~25のもので、扉口は12世紀末に南側に移されています。「カタリ派」の撲滅に力を貸して地盤を強固にしたものの、百年戦争やフランス革命で被害を受け、回廊も売られたのですが、国に買い取られ管理されています。

回廊は76のアーケードを方形に並べ、大理石の単柱と双柱を交互に配し、旧約や新約聖書からの説話場面、動植物(幻想的なものも多い)などの柱頭彫刻が素晴らしい。

↓回廊中庭に杉の大木

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↓柱頭彫刻 クリスマの実物は初めて

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↓「獅子の穴のダニエル」

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 素晴らしいと見とれていて、いつのまにかツアーの人たちが居なくなっていてびっくり!「皆さんは何処へ~」。回廊からは直接教会に通じて無いので、あたふた・・・ご用心。

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やっとこ追い付いて教会へ。ここは内部よりもファサードに多数の興味深い浮き彫りがあります。↓中央柱の予言者エルミアが思慮深い横顔を見せて、長身のボディをちょっとひねり気味に立っています。古代ローマのヘレニズムからより一層自由に精神性を深めた表現にうっとり。。。

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↓壮麗な「黙示録」のタンパンはベアトゥス写本から

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 ↓入り口左側面に「アブラハムの懐」の浮き彫り(絵葉書参照)があり、その時は意味がわからず、帰ってきてから確かめたところ、ルカの福音書の金持ちと貧しいラザロの話に由来した図像と判明。このテーマはロマネスク独自のものなのかは不明だが、最近訪れた伊のオトラントのモザイク(12世紀)やアルルのサン・トロフィーム教会のファサードにもあったと記憶しています。

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↓上の対面の右側壁には「エジプトへの逃避」など。

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他には淫乱(これはすさまじい)やお金への執着を戒める浮き彫りが強いインパクトで迫ってきます。石に刻まれた詩とうたわれたここの彫刻群を鑑賞するにはとても時間が足りませんでした。再訪を願いつつ、またバスに乗りガロンヌ川の船着き場へ。ここからミディ運河のランチクルーズになりました。ケターリングの人たちが遅れ、すでに調理したものを船に運んできてテーブルセットして、ようやく出航。メニューはミックスサラダ、サーモンのマヨネーズ添え、ローストポーク、チーズ、ノルウェイ風オムレツのデザート、ワイン、コーヒーでした。

↓いくつもの水門を通過しました。係員さんが水門を開けて、次の水門まで自転車で走ったり、大掛かりな機関車を使ったものまで、いろいろ。

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↓絵葉書です

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昼食の時間も含めてかなり長い時を船で過ごしましたので、美しい川辺の風景にもやや飽きてきました。添乗員さんに明日の予定を尋ねたところ、トゥールーズの教会などは行くのですが、オーギュスタン美術館は入館しないとのこと・・・それは困ります。友人と私だけでなく何人かが、ここを早く切り上げて美術館に行きたいと駄々コネ(笑)。幸いベテランの添乗員さんはこの美術館の価値を良くご存知で、早めに下船してすべりこみで入館できました。ホテルからも徒歩10分くらい。

☆オーギュスタン美術館 

 ↓建物は以前の修道院時代のように、中庭にはハーブなどの植物が手入れ良く植えられています。

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ロマネスク美術に興味を持ち始めたころでしたが、ロマネスク彫刻の傑作がこれほど一堂に観られる美術館はそうありません。何度か訪れたルーブルの中世彫刻の部門でさえ、ここよりは質量ともに見劣りします。そして他の大抵は稚拙な素朴さのあるものと違い、華やかな雰囲気がただよっています。
 ↓ 足を交差させて獅子と羊をペットのように抱き、踊る乙女たち。

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他にも義理の娘サロメの頬に手をあて言い寄る?ヘロデとの場面の彫刻、キリストの捕縛など。変わった主題ではエジプトのマリアなど・・・閉館まで時間が迫っていたのでやや物足りない思いでした。ぜひとも再訪したい美術館のひとつです。追記:2011夏再訪(モワサックも)

夕食はホテルのレストランで。ポテトのパイ包み、鴨の茸ソース、フローティングアイランドというデザート、ビール、コーヒー。昨日と同じレストランなので、フリーで他へ行かれた方も何人か…友人と、パリで美味しいもの食べようねと我慢しました。



 


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