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1994春の旅(8)アムステルダム~デン・ハーグ [1994春ヨーロッパ初めての一人旅]

5/14(土) アムステルダム→ハールレム→デン・ハーグ(列車移動)

 ホテルの朝食はビュッフスタイルで味はまあまあ普通でした。チェックアウトして中央駅へ。これからの列車移動に邪魔なのは重いスーツケースです。旅の計画にあたって愛読書?の「トーマス・クックの時刻表」にあったチッキ(鉄道配送)を利用することにしました。前日中央駅で受付の場所を確かめていたので、まずそこで配送手続をしました。「アントワープの駅まで送ってほしいのです」「今日中には着かないよ」「明日行くのです」「それならOK」ということで話はスムーズ(・・・のはずでしたが)。

 1泊分のボストンバックを抱えて列車でハールレムへ(20分くらい)。ハールレム駅構内にはコインロッカーもありました。身軽になってまず行くところは17世紀オランダ最大の風景画家ライスダールの「ハールレムの眺め」に描かれているSt ・Bavo教会です。バフォーという発音が悪いのか、道を尋ねた方に理解をしてもらうのに苦労でしたが、大きな教会なので途中からその姿を確認。土曜日の市のたつ広場で花屋さんのをのぞいたりして10分ほどで到着。

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 当然ですがあの絵画に描かれた黄金色に輝く小麦畑も風車もこの教会のまわりにはありません。内部はモーツアルトが子供の時立ち寄って弾いたと言う立派なパイプオルガンがあるだけで、教会としては機能していないみたいでした。カフェがあったり、学生さん達が演劇の練習をしていたり・・・不思議な教会です。それに有料。また上の写真でも確認できますが教会の外壁にはいくつかの小さな店舗がくっついていて、床屋さんも営業中でした。

↓Jacob van Ruisdaelライスダール「ハールレムの眺め」(1670頃)62×52

ライスダール2.jpg

 この教会からフランス・ハルス美術館までは徒歩10分くらい。趣きのある閑静な小道沿いに、バイオリンなどの工房やアンティークの店など。下の写真のような煉瓦の長屋風建物などが建っています。

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☆フランス・ハルス美術館(初)

 昔は養老院だったという鄙びた建物がオランダ絵画黄金時代の最初期を代表するハルスの美術館になっています。ハルスの作品はほぼ世界中にあり、自然な表情を見せる人物を描き有名です。その大胆な筆使いのテクニックにはかねがね恐れ入ってましたので、ここを素通りすることなど考えられない私でした。

何枚かの集団肖像画は本当に活き活きと楽しそうな晩餐会の場面です。↓ハルス「聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐」(1616)175×324

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↓ハルス「聖ゲオルギウス市警備隊の士官たちの晩餐」(1627頃)179×257

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 そしてここの前身である養老院の女理事たちの絵は画家の晩年を代表する作品として知られています。↓「養老院の女理事たち」(1664)部分

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ゴッホが弟テオに送った手紙のなかで郷土の先輩画家ハルスの「黒」を称賛しています。ハルスの絵を観る度に私は目を皿のようにして、その「黒」を見つめてしまいます。                

観賞の後は旧修道院の中庭のベンチで休憩し、元来た道を辿って駅へ戻りました。途中で見つけた中華料理の店で、中華そばを食べたのですが、乾麺のうえスープも不味く、ほとんど食べられませんでした。どおりでお客は私独り・・・。

↓ハールレム駅プラットホーム/デン・ハーグへ。

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 車窓に見える眺めは風車を背景に水路のある田園地帯を自転車で走る人々・・・オランダにいる自分が夢のなかにいるように思えました。ぼんやりしていたようで、デン・ハーグ行きの電車に乗ったはずでしたが、降りてみれば同じデン・ハーグでもなんとか駅という名前・・・私は中央駅に行かなければなりません。まだ大事な美術館が残っています。あわててタクシーを捕まえて中央駅へ。ホテルは中央駅に隣接したソフィテル デン・ハーグホテルです。洗濯と休憩の後、広大な公園を右に見て、そぞろ歩いて15分くらいで美術館に到着。

☆マウリッツ・ハイス美術館(初)

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  貴族の館といっても豪壮というよりは典雅でシンプルな2階建ての建物です。しっくりとこの穏やかな街に似合った佇まいです。ここは私が訪問した翌年1995年に大規模なフェルメール展が開催され、一躍日本にも知られ、有名になりました。
1994年に訪れたときはフェルメールの代表作「デルフトの眺望」は額からはずされ、アトリエを模したガラス張りの地下室に画架にかけられ、展示されていました。
写真では静かな雰囲気のする絵画と思っていましたが、実際はほんものだけが持つオーラというか迫力があり、驚きました。オランダの絵画に共通する広い空と厚い雲。建物にあたる光の微妙な美しさは言葉に表現できないほど。実際のデルフトの風景とは違うようですが、この街で終生過ごした画家の想いがこめられています。

↓フェルメール「デルフトの眺望」(1660頃)98×117 初期の代表作。スヒー川から見た市の南端の景色。

フェルメール2.jpeg

 また同じ部屋には修復されたばかりの「ターバンの少女」が展示されていました。
その修復の説明がテレビ画面で観られるようになっていました。フェルメール独自の光の粒が丹念に描かれているズームアップした画面を本物と比べながら鑑賞できたのは望外の幸せでした。しかもこの展示室も含めて数えるほどの鑑賞者しかいません。今思えばここが最も贅沢なフェルメール体験でした。

↓フェルメール「ターバンの娘」(1665頃)46×40

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 他にもレンブラントやハルスのネーデルランドの黄金期の傑作がずらりと揃っています。
      ↓ハルスの「笑う少年」(1620-25頃)直径29 スナップ写真のような子供らしい自然な笑顔が印象的。ハルスらしい大胆な筆致の小品

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↓レンブラント「トゥルプ博士の解剖学講義」(1632)169×216

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↓Gerard ter Borchテル・ボルフ「手紙を書く婦人」(1655以後)39×30

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 閉館ぎりぎりに鑑賞が終わり、外に出るとはや夕暮なっていました。デン・ハーグはマウリッツ・ハイス美術館だけが目的でしたので、疲れもありどこも観光しないでホテルに戻りました。夕食もルームサービスで食べたと日記にあります。よほど疲れていたのでしょう。


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