1994春の旅(9)デン・ハーグ~アントワープ [1994春ヨーロッパ初めての一人旅]
5/15(日) デン・ハーグ→ ロッテルダム→アントワープ(列車移動)
デン・ハーグのホテルの朝食室は緑の公園が窓外に広がり、気持ちの良い朝を迎えました。美味しい朝ごはんでした。
↓車窓風景
デン・ハーグから列車にのってロッテルダムまで行ったのですが、あろうことか行き先は中央駅ではなく郊外のナントカ駅行きに乗ってしまいました。あれほど注意していたのに・・・。疲れが出てくるとこういうミスをしがちになります。駅員さんに尋ねると「美術館は分からないけど中央駅まで歩けるよ」と、もう一度引き返そうとする私を押しとどめます。高架のホームから指差す彼方に高層ビルが・・・その側が中央駅とのこと。ここの駅前にはタクシーもいなくて、観念して
それに向かって歩きました。日曜日で人影のまったくないビジネス街を抜けるのは怖かったです。1泊分とはいえボストンバックも重く、ようやく中央駅へ着いた時にはヘトヘト。荷物をロッカーに預け、タクシーで美術館へ。駅も街も今まで巡ってきたオランダの町の雰囲気とは違います。第二次大戦で、ナチスドイツの爆撃で破壊された街は、戦後近代的に復興されました。あまり治安も良くないとの情報もありました。
☆ボイマンス=ファン・ブニンヘン美術館
赤レンガの2階建ての建物で、ガラス張りの入り口棟にチケット売り場やショップ、カフェがありました。1階は陶器(チューリップを飾る独特の花器など)の展示、2階に絵画が並んでいます。中世の宗教画から現代アートまで豊富なコレクションを誇っています。
↓ヒューベルトとヤンのエイク兄弟の共作とも模写ともいわれている「キリストの墓を訪れる聖女たち」71×89
エイクは15世紀ネーデルランド絵画の創始者。油彩画法を確立したことだけでも凄いことなのに、そのうえ彼の代表作とはいえないこの絵画でさえも、ここまで見事に描ききれるだけの才能の持ち主です。天使や3人のマリア、遠景の空間処理などはやはりエイクです。早逝した兄ヒューベルトの才能と製作も受け継いで、この後の画業は輝かしくも凄まじいものがありますね。初期ネーデルランド絵画にイタリアルネッサンスに比肩する革命をもたらしました。
↓ピーテル・ブリューゲル「バベルの塔」(1564)60×74 ウィーンの同主題の作品のほぼ半分の大きさ。神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の旧コレクション。
ルーベンスやレンブラント、ボッス、印象派も多数、ダリ、バルテュスなども。現代アートのインスタレーションまで揃えた幅広いコレクション。
↓ダリ「頭が雲でいっぱいのカップル」(1936)92×69男&82×62女 ミレーの晩鐘に描かれた夫婦の上半身の姿勢をしたダリとガラのシェイプト・カンヴァス。
館内のカフェで昼食をとっていますと、なんどか展示室で見かけた東洋人の男性が声をかけてきました。香港からカナダに移住してバンクーバーに住んでいるそう。このころは香港返還前で中国に支配されるのを嫌って、カナダなどに移住した香港人が多かった時でした。バンクーバーには従姉の娘が住んでいた時でしたので、片言ながらお話ししました。「ここは美術館は素晴らしいけれど、町はストレンジだから、駅までご一緒しましょう」といってボディガードしてもらいました。駅には警官の姿もあり、ここは安心だねといってアムステルダムに戻る彼とお別れ。間もなくやってきた列車で、アントワープに向かいました。
↓ アントワープの駅(降りたホームで撮ったもの)
アントワープの中央駅1階に荷物預かり兼チッキ受付の窓口があり、早速そこに行ってみましたが、まだスーツケースは届いていません。とにかく駅前のホテルにいったんチェックインして、夕方にまた来ることにしました。ホテルは駅近くのアルファ・デ・カイザーに1泊。この町は宝石屋さんが多く、ユダヤ系の商人も泊まるのでしょうか、セキュリティは万全。ルームカードでエレベーターも動く仕組みも、当時では珍しかったです。荷物が届かなければ下着の洗濯は必須です。早く観光したい気持ちを抑え、洗濯をまず済ませてから外出しました。
ホテルの前の大通りを徒歩で20分くらいでGroen広場。地下鉄もまだ開通していませんのでその出入口も設置されていませんし、MACもなくベルギーの地方都市ローカルな雰囲気がありました。
写真に見える赤い観光電車プチトランに乗って、港の方まで往復しました。港の手前に古い倉庫が並んでいました。この辺りは再開発され、後にMASという近代的な美術館も建てられています。(2012再訪)
↓市庁舎前の広場
ノートルダム寺院の前で下車し、見学。娘たちが幼いころ、TVで放映していた「フランダースの犬」で知ったのですが、ネロ少年が憧れるルーベンスの祭壇画のある教会です。あの最後の場面は泣けましたね。さすが、ここには日本人のツアーが入ってました。「こんにちは~」と久しぶりの日本語でした。
☆アントワープのノートルダム大聖堂(初)
ゴシック様式の教会の内部にルーベンスの祭壇画があるので訪れました。観光客が多かったのですが、威厳ある大教会としての風格があり、説教壇↓もとても立派です。
↓内部
↓ 主祭壇に「聖母被昇天」(1626)490×325/ルーベンスの妻イザべラ・ブラントが早逝したのが同年。マリアの下部に描かれた赤い衣の女性に面影が・・・亡き妻を重ね合わせて描いたものでしょうか。
↓ルーベンス「十字架降下の祭壇画」(1611-14)/中央に「十字架降下」420×310、左に「聖母のエリザベツ訪問」420×150、右に「キリストの神殿訪問」420×150
中央の「十字架降下」に描かれた聖母マリア(青衣)、その蒼白な悲哀の表情に心打たれました。
この後は王立美術館を訪れる予定でしたが、すでに夕方で時間切れ。駅にチッキの確認に行きましたがまだ着いていません。どうしましょう~明日はブルージュへ行く予定なのです。夕食はホテルのレストランで。前菜、メインはサーモン、ティー。4☆ホテルだけあってサービスも良く、美味しかったです。
↓アントワープのホテルで。スーツケースが届かなくて浮かぬ顔ですが、セルフ撮り。
個人旅行で荷物が届かない、これは大変ショックな事件ですよね。
私なぞ、英語くらい、おもっても普段つかっていないので、いざとなると単語が思い浮かばないので何か起こったら、と一人旅は いよいよ 二の足をふんでしまします。
お一人でよく乗り切られましたね。感服いたしました。ところで お荷物 どうなったのでしょう?
by yk (2015-02-08 00:01)
ykさま、私の英語なぞ、ひどいものですが、この時の一人旅でなんとかトラブルを克服(?)できたのが、自信につながったみたいです。
荷物はぎりぎりパリへ向かう前にアントワープで引き取ることができました。もし、間に合わなかったらパリの駅留めにしてもらうつもりでした。紛失の場合は、さっぱり諦めてパリで衣料を調達して、4泊を凌ぐつもり。。。など一応考えましたが、あまり深刻ではなかったです。ひとりなので着た切り雀でも誰も観ていないですし(笑)またそれどころでなく、色々見るもの満載で忙しかったので。
by alice (2015-02-08 11:54)