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1993春の旅(2-1)ベルリン [1993春ヨーロッパ娘たちと美術館巡り]

3/12

 夜明けにガラガラ、ゴーゴーというごみ収集車の音で目覚めました。初めてのドイツの朝食はパンもソーセージやハム類もとても美味しく、食いしん坊の私たちは大満足でした。

 さて、ベルリンに2泊といっても実質は今日一日しか時間がありません。街の観光は後回しにして、近くのクーダム駅から地下鉄でダーレムへ。切符売り場で係りの人の勧めるままに切符を購入。電車は郊外にでると地上を走ります。電車で向かいに座っていた老婦人が次女が爪の逆剥けが痛いと言ってるのを聞いて、ご親切に小さな鋏を貸してくれました。言葉は通じなくても、遠方からの観光客を大事にしてくれるお気持ちが嬉しかったです。

 ダーレムの駅に着いて駅員さんに切符を渡そうとすると受け取らないで何とかというので、一日フリー切符だと判明(汗)駅前には案内の矢印が見えましたがすべてドイツ語です。近辺は私たちの目的のダーレム美術館のほかにも博物館なども多いようで、どれがどれだか分かりません。次女がギャラリーみたいなこと書いてあるというので、そちらに向かって歩きました。迷いながらようやく到着。

↓実際はこのミュージアムの裏側が絵画館だったのですが

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 入館しても係員は英語のできない人が多く、博物館の展示室を幾つも通過して、なんとか絵画館の棟に辿り着きました。当時のベルリンはこのギャラリーを含めて詳しい情報があまりなく、薄いガイドブックをたよりに出発したため、訪問してみて相当に充実したコレクションの数々に展示室を移動しながら「あら~!あれもこれも」と驚くばかりでした。いうまでもなくベルリンの美術館のたどった運命は過酷なものでした。ヒトラーの美術品迫害、大戦の戦火、そして東西の分裂という災難…それを乗り越えてきた収蔵品を古い建物の板敷の床を踏みつつ鑑賞しました。

☆ダーレム美術館(初)コレクションは現在ベルリン絵画ギャラリーへ移動しています

↓私達が気に入って、勝手に「ダーレムの少女」と名前をつけたPetrus Christusクリストゥス(1410/15~73)の「婦人の肖像」(絵葉書)

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冷たい生硬な感覚がピシっと引き締まった画面を作りあげて印象的な作品です。クリストゥスはファン・エイクの死後、工房の後継者としてブルージュで活躍した画家です。古都ブルージュの繁栄が終焉を迎えたのは、この肖像画の描かれた約40年後。寂しげに未来をみつめる少女です。

他はファン・エイクの「教会の聖母」「ジョバンニ・アルノフィーニの肖像」をはじめ、ウェイデン、グース、メムリンク、ブリューゲルなどの初期ネーデルランド絵画も充実しています。

 そして、Lucas Cranach クラナハ(1472~1553) の部屋。ドイツ・ルネサンスの画家には1室が与えられていて「青春の泉」を中心に左右に「ヴィーナス」と「アモール」、他は「エジプトの逃避」や「ルクレティア」など。クラナハをこれほどまとめて観たのはもちろん初めてでしたから、母娘3人で手を握らんばかり(笑)クラナハの描く女性の不思議な色気は現代的なセンスに近いものがあると思いました。

↓Rembrandt Harmensz.van Rijnレンブラント(1606~1669)の「ベレー帽をかぶった自画像」と「十戒の板を打ち壊そうとするモーセ」

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レンブラント専用の部屋に「スザンナの水浴」「橋のある風景」など名作揃い。レンブラントのほかの17世紀のフランドル、オランダ絵画も素晴らしいコレクションです。フランス・ハルスの「マレ・バッべ(気違い女)」の大胆な筆致!

 そしてJan Vermeer フェルメール(1632~1675)の「真珠の首飾りをつける婦人」と「ワインのグラス」の2点。なにしろ現存作がわずかに35点ほどという寡作の画家です。昨年のルーブルに続いて貴重なコレクションに巡り合えました。

↓念願のフェルメールの前で長女が記念撮影

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↓フェルメール「ワインのグラス」

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↓ Peer Paiul Rubensルーベンス(1577~1640)の「アンドロメダ」

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 ほかにも印象深い作品が多数で、書ききれません。回っている途中で前首相だった海部俊樹さん(いつもの水玉のネクタイの)をお見かけしました。ダーレムの近くに日本大使館があったので、見学に来られたと思うのですが、随行員の方たちに促されるまで熱心にご覧でした。

 ダーレム美術館の後は地下鉄移動。降りた駅からはずいぶん歩きました。道を尋ねながらようやくシャルロッテンブルク宮殿へ。この時は宮殿内にロココ絵画の名品が所蔵されていることも知りませんでした。道路をへだてて建つエジプト美術館が目的だったため、宮殿は外観を眺めただけで時間もなく入館しませんでした。

↓ 後方がシャルロッテンブルク宮殿です。次女と。

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 ベルリンのエジプト博物館には古代エジプトのアマルナ美術の傑作「ネフェルティティ王妃の胸像」があります。前年の1992年春、一連のイスラム原理主義によるテロの頻発する前に、ネフェルティティの住んでいた土地(テル・エル・アマルナ、ここで発掘された)を訪れていたこともあって、王妃の彫刻を観たかったのです。

☆エジプト博物館(初)コレクションは現在は博物館島の新博物館に移動しています

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 ドームの下が螺旋階段の吹き抜けになっていて、下から見上げると2階部分にネフェルティティの像が暗い部屋にスポットライトを浴びて浮かんでいました。3000年前のものとは信じられない造形と色彩美。

↓ ようやく会えました「ネフェルティティ王妃の胸像」と手を握って仲良しの「夫婦の像」

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↓ エジプト博物館前で

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見学後、宮殿の見えるレストランで昼食。ドイツは食事があまり美味しくないとの前評判でしたが、ここの牛肉とキャベツのトマト煮は特に娘たちに好評でした。

~続きます。


 


1993春の旅(1)札幌~ベルリン [1993春ヨーロッパ娘たちと美術館巡り]

 2年前のイタリアルネッサンスツアーから始まった西欧美術への関心はますます強くなり、カルチャー教室での新しい友人にも恵まれ、美術愛好家への道を一直線です。子育て終了後の空の巣症候群などにも「何のお話?」みたいな感じでした。

 さて1年前のエジプト&パリから帰った時は「来年行けたらヨーロッパへ行こうね」と娘たちとの確実な約束を避けていたのですが・・・敵もさるもの、なんとなく丸め込まれた感じですが、翌年は長女も就職していることですし、高校3年になる次女は夏までに推薦入試を勝ち取るからとの力強いお言葉。それならと、娘たちの春休みに母娘3人でヨーロッパの美術館めぐりに出かけることになりました。

 ☆スケジュール

札幌→羽田/成田→フランクフルト乗り換え→ベルリン(2)→アムステルダム(2)→パリ(4)→ロンドン(4)→フランクフルト乗り換え→成田→札幌(12泊14日)

↓MAP

 

 飛行機のチケットとホテルの予約だけ旅行代理店で済ませました。航空券はヨーロッパ内のフライトが多かったせいか(その頃は格安航空会社もなく)総費用の半分という高額なものになってしまいました。

3/12  千歳8:20→羽田9:50....成田14:05→フランクフルト18:15/19:30→ベルリン20:35

 成田からの国際線はルフトハンザ航空。空席がほとんどで、私は娘たちと別れて後方に移動しましたが、どこにしようかと迷うほどがら空き。席の仕切りを倒して横になってリラックスしていました。娘たちはFAさんに「コックピット見る?」と誘われて、操縦席へ行ったそうです。機長さんも優しく、とても親切にしていただいたそうですが、まるで子ども扱いだったとか(笑)。中学生と高校生くらいにしかみえなかったのでしょう。乗客を飛行中に操縦席に入れることなど今なら考えられないことですが・・・のんびりした時代でした。

 フランクフルトではベルリン行きのフライトが30分ほど遅れ、ゲートで結局1時間ほど待ちました。まだベルリンの壁が崩れてから3年余りしかたっていない頃でしたから、ベルリン行きの乗客たちは目の鋭い人が多く、その人たちからジロジロ穴の開くほど見られたのが強く印象に残っています。のほほんとした母娘がロマンチック街道ならいざしらず、ベルリンに何しに行くのかと思ってるみたいでした。

 さて、ベルリン・テーゲル空港には夜も更けて10時過ぎに到着。荷物受取のターンテーブル近くの両替屋さんはもう閉まっています。日本円をマルクに変えなければタクシーにも乗れませんから困りました。結局ずいぶん歩いてコの字型の空港の端にようやく1カ所見つけ、無事マルクをゲット。タクシーでホテルへ。

 タクシーから見えるベルリンの街は暗く、パリに比べると武骨な建物に落書きだらけ。ドイツ語も全然できない私たち…正直選択を間違えたかもと後悔しました。ホテルはベルリンの繁華街クーダムに近いマークホテル。部屋はドアを開けると右にバスルーム(バスタブ付き)、奥に2室あり、広いファミリータイプ。質素ですが清潔でぐっすり眠れました。


タグ:ベルリン
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