SSブログ

1993春の旅(10)ロンドン [1993春ヨーロッパ娘たちと美術館巡り]

3/21(日)

 私の風邪が治ってやれやれと思う間もなく長女が風邪をひいてしまいました。熱はあまりないのですが、この日は一日ホテルで休養することになりました。私と次女は午前中は別行動になり、私はテムズ川の遊覧船でビックベンの乗り場からロンドンタワーまで行きました。

↓船から写したタワー・ブリッジ

1993.53.jpeg

 ロンドンタワーは正式には「女王陛下の宮殿にして要塞」(Her Majesty's Royal Palace and Fortress)と呼ばれるように、現在も儀礼的な武器などの保管庫、礼拝所などとして使用されている。その景観から「ホワイト・タワー」とも呼ばれ、世界最大級のカット・ダイヤモンドはここで保管されている。(Wikipediaより)。

またここは牢獄でもあったので、処刑された人々も多いのです。中学生のころ観た映画「リチャード3世」でもエドワード4世の幼い息子二人がこの塔に幽閉され殺される場面がありましたし、リチャード8世の妃アン・ブーリン、クロムウエル、ジェーン・グレイなど血なまぐさい歴史の数々。

↓映画「リチャード3世」のポスター。日本公開は1956年だったそうです。リチャード3世は最近遺骨が発見されたり話題になりましたね。この映画は忘れられない別の思い出もあります。当時、私たち中学生は大人同伴でないと映画館に入ってはいけなかったのですが、この映画は故郷T町の映画館にはかからず、1時間ほど汽車に乗って友人とM市に行きました。多忙な親には言えず内緒で。ところが親と来ていたクラスメートに見られて、先生にチクられたのです。満席で立ちっぱなしで観た映画は素晴らしかったけれど、苦い思い出・・・。余談でした(汗)

1993.60.jpg

 ロンドン塔には怖いお話ばかりではありません。華やかな王家の宝冠、宝石クラウン・ジュエルの展示室もあります。世界一大きいダイヤモンド「カリナン」をはじめ、王冠を飾るエメラルドやルビーの巨大なこと!ただ立ち止まってはいけませんと、なんども係員が言うので白けました。現在は動く通路ができたそうです。

↓ビーフィーター(護衛兵)さんと記念写真

1993.52.jpeg

 敷地内にある食堂で簡単なランチをとったあと地下鉄でトラファルガー広場へ。次女とナショナル・ギャラリー前で待ち合わせ、お茶してから昨日と違う正面の本館入口から入りました。

☆ロンドン・ナショナル・ギャラリー(2)

 今となってはおぼろげな記憶になってしまいましたが、ホルバインの「大使たち」、レンブラントの「水浴する女」、ベラスケスの「鏡を見るヴィーナス」などの名画が次々に現れ、昨日に続いて感嘆のため息・・・。

 買い求めてきた絵葉書から何枚かピックアップしてみました。どれも好きな作品です。

↓ルーベンスの「スザンナ・ルンデン」1622頃/モデルは再婚した妻エレーヌ・フールマンの姉。ルーベンスは宗教画や歴史画の大作も立派ですが、こういう肖像画や晩年の風景画の方が好ましいです。

1993.54.jpeg

↓ホッペマの「ミデルハルニスの並木道」1689/17世紀オランダの風景画の中で最も有名な作品の一つ。この絵の中に入り込んで歩きたいと思うほど魅力的。

1993.58.jpeg

↓ドガの「フェルナンド・サーカスのララ嬢」1879/ドガの斬新奇抜な構図の素晴らしさ。カメラワークのような目線に感服した一枚。

1993.56.jpeg

↓ゴッホの「ひまわり(14本)」1888/アルル時代に描かれたひまわり6点のうちの1点。

1993.57.jpeg

 まだまだ観たかったのですが、頭も目も飽和状態になり、切り上げてホテルに戻りました。今思えば風邪が治ったばかりなのに、無理をしたものです。それだけ若かったってことですね~。

 夕食は近くのちょっとお洒落なフレンチ・レストランで。イギリスは美味しくないと思っていたせいか、良い意味で裏切られて、ご機嫌な食事でした。この夜は長女も一緒に食事に出ることができました。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

1993春の旅(9)パリ~ロンドン [1993春ヨーロッパ娘たちと美術館巡り]

3/20(土)パリ12:10~ロンドン12:20(時差1時間)

 昨夜のフランス人医師の往診のおかげで、なんとか熱も下がりました。荷物をまとめてチェックアウトし、CDG空港へ。1993年当時はまだ英仏海峡のトンネルが開通する前(1994年ユーロスター開業)でした。ロンドンの宿はサウスケンジントン駅の近く、V&A美術館の向かい側のレンブラント・ホテルでした。この時の旅では一番の高級ホテル。優雅なインテリアですが部屋は狭くベットは2台並んでいますが補助ベットなしなので、とても3人は無理です。もう一室増やしてもらって、風邪ひきの私が1室使うということになりました。夜、私が咳き込むので娘たちもほっとした様子。お財布的に厳しいけれど・・・。ロンドンは次女が中学生の時ホームスティで3週間ほど滞在していたことがありますが、私と長女は初訪問でした。次女の案内でロンドンに4泊するのが楽しみでした。

 昼ごはんは飛行機内で簡単に済ませてましたから、ひと休みした後はすぐナショナル・ギャラリーへ。サウスケンジントン駅までの道に迷い、散歩中の老紳士にサブウエィステーションの場所を聞きましたが・・・「えっ?ああチューブね」とのお答え。ロンドンの地下鉄に乗るとき、びっくりしたのが切符の高額なことでした。3人ですとそれほど遠くなかったらタクシーでもOKと思いました。

 ☆ロンドン・ナショナル・ギャラリー(初)

 ヨーロッパ本土に較べ、イギリスのルネッサンスは100年遅かったこともあり、その焦り?も多少はあったでしょうか、大英帝国の繁栄をバックにイタリアルネッサンスを初めとした膨大な絵画の蒐集、またその素晴らしい審美眼には脱帽です。

昨年のパリそして今回の ベルリン~アムステルダムとここまで鑑賞してきたたファン・エイクやフェルメールなどの素晴らしい北方絵画。それがここでも、最上級の傑作に出会えました。次いでクリヴェッリ、トゥーラ、ピエロ・デッラ・フランチェスカ、ウッチェロなど・・・書けばキリのない名作ぞろいです。ホテルに戻る体力を何とか残しながら、前半終了。後半は翌日と思いながらも足が止まらず体力限界まで巡りました。

 今になってはどういう順番で鑑賞したのかはっきりしないのですが、前半は初期ルネッサンスエリアのセインズベリー館から入りました。初回の訪問で強い印象に残ったのはやはりというべきでしょうか、北方ルネッサンスの

↓ヤン・ファン・エイクの「アルノルフィー二夫妻」1434/ベルリンの肖像画にも描かれた新婚のイタリア商人ジョバンニ・アルノルフィー二夫妻の立像肖像画。2人の結婚の証人として立ち会った画家自身が凸面鏡のなかに描きこまれてるほか、室内には結婚のさまざまな象徴表現など、技巧をこらしたエイクの代表作。イタリア盛期ルネッサンスの100年も前に描かれたとは信じがたく、その当時の15世紀の人々の驚きはいかばかりだったでしょう。

1993.48.jpeg

 イタリアルネッサンスではダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」、ボッティチェリの「ヴィーナスとマルス」など。

↓北方絵画ではクラナハの「ヴィーナスに訴えるキューピッド」1530頃/キュービッドがミツバチの巣を手にしてヴィーナスに救いを求めています。この絵には人生の楽しみは痛みがつきものという教訓が込められているそうです。

1993.49.jpeg

↓フェルメールの「ヴァージナルの前に立つ婦人」と「ヴァージナルの前に座る婦人」(2点とも1673~75)があります。左の「ヴァージナルの前に立つ婦人」は後期の代表作として知られていますが、対画として描かれたらしい右の「ヴァージナルの前に座る婦人」は画家特有の光の描写がいまいち固い・・・。

1993.50.jpeg 1993.51.jpeg 

↓ ここではあまりメジャーではない画家の作品にも眼を惹かれました。Geertgen tot Sint Jansヘールトヘン・トット・シント・ヤンス(15世紀ネーデルランドの画家)の「キリストの降誕」です。(絵葉書)/ 卵形の上品顔のマリア、天使達の可愛らしさ。夜景の表現も素晴らしい小品(34×25)です。

9e0d.jpg
 ヴァン・ダイク、ルーベンス、レンブラント、ベラスケスなど見逃せない傑作が次から次に現れます。疲れ果ててホテルに戻りました。夕食はホテル内のレストランでブッフェ形式のローストビーフなどいただきました。食欲も戻り私の風邪は回復に向かったのですが、長女にうつってしまいました。翌日から寝込んでしまったのです。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:旅行

1993春の旅(8)パリ [1993春ヨーロッパ娘たちと美術館巡り]

3/19(金)

 朝から体調が悪かったのですが、熱は微熱程度ですしせっかくパリに来て寝てもいられません。ホテルからタクシーでマルモッタン美術館へ。ブローニュの森の近く、高級住宅地16区にある邸宅がモネの美術館です。タクシーでミュゼ・マルモッタンといっても発音が悪いのか通じません。仕方なくモネ、モネと連発。ああモネね・・・ウイウイ。

☆マルモッタン美術館(初)

 まず、直行したのがモネのお部屋といいたいところですが、入り口右側のミ二ュアチュールの展示室でウロウロ。(今はモネよりこちらのほうに興味ありですが・・・)広くもない美術館で迷ってしまった母娘3人組でした。
モネは「印象-日の出」、「雪のなかの蒸気機関車」「サン・ラザール駅、ヨーロッパ橋」など。ここやオルセーで初めて知ったのがモリゾやカサットの女流画家たち。柔らかな筆致の中に生活者としての、母としての確かな眼が感じられます。
カイユボットの「パリの通り、雨」(シカゴの習作)なども良かったです。 

↓モネ「印象・日の出」48×63/第一回印象派展に出品。「印象派」という用語はこの絵から生み出されたそうです。(絵葉書)

1993.47.jpeg

モネ雪のなかの蒸気機関車」59×78
故郷の鉄道駅(今は廃線)を懐かしく思い出しました。睡蓮の絵より好き。(絵葉書)

monet4.jpg

モリゾ「Au Bal 舞踏会で」
黒い髪と瞳の美しい貴婦人。優雅ななかにストーリーを秘めた作品です。(絵葉書

monet5.jpg

↓マルモッタン美術館の前で

1993.43.jpeg 1993.44.jpeg

 この後、サンジェルマン・デ・プレに行き、和食のランチ。久しぶりの日本の味に少し食欲も出て、私はお茶漬けを食べました。夕食のために巻き寿司もテイクアウトしてホテルに戻りました。ところが背中が痛くなってきて、それが次第に激痛になり、熱も上昇。明日はロンドンに移動しなければなりませんから、カードの保険会社に電話して、近くのお医者さんに診察を頼みました。まもなくやってきたフランス人の医者さんはこの近くで開業している方でした。太い注射をお尻に打たれました。お薬は長女が処方箋を持って、近くの薬局でもらってきてくれました。これで安心したのか注射も効いたらしく、深い眠りに・・・。


 


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。