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1996初秋の旅(6)ナンシー~ディジョン [1996初秋ヨーロッパ鉄道の旅]

9/5(水) Nancy13:07→Dijon15:23

ディジョン/オステルリー・ドゥ・シャポールージュ2泊

 ナンシーのホテルは築後300年くらい?古い建物なので、朝食室も天井の高いクラシックなインテリアです。でもテーブルや椅子ももうガタが来ていて、やや不安定。普通のおばさんタイプのサービス係がいろいろ気を配ってくれて、美味しい朝ごはんでした。いったんチェックアウトして、荷物を預け外出。お天気も良いのでスタニスラス広場から2キロ以上はありますが、ナンシー派美術館まで歩きました。途中にクレディ・リヨネ銀行があり、アール・ヌーヴォーのガラスの天井画を見学しました。銀行業務をする1階のフロアへ、お客さんたちに交じって入店しました。

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↓「クレマチス」ジャック・グリュベール(1870~1936)作、明るく幻想的。

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 街のあちこちにアール・ヌーヴォーの建築が見られます。↓写真は上手く撮れませんでしたが、あっちこっちと指さしながら歩きました。フォッシュ大通り付近。

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☆ナンシー派美術館Musée de l'École de Nancy(初)

 ナンシーは長い間ロレーヌ公国の首都として栄え、18世紀にスタニスラス大公によって現在のロココの街並みがつくられました。そのロココの軽やかな装飾感覚が約100年後のナンシーのアール・ヌーヴォーの出発点なのです。ナンシーの工芸家ガレのパトロンであったジューヌ・ゴルバンの私邸を改装したナンシー派美術館には、アール・ヌーヴォーの作品のコレクションと、当時の生活空間を再現した展示が見事です。

↓伊万里焼の写し。1900年 直径22CM  ナンシーと日本の出会いを象徴する作品。1886年ガレが農務省の留学生としてきていた高島北海と知り合ったことからジャポニズムを学び、有機的な曲線や自然表現に影響を受けています。カメラ禁止なので、以下すべて絵葉書です。

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↓ガレの寄木象嵌の寝台

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↓ジャック・グリュベール「ひょうたんと睡蓮」 ステンドグラスと色ガラスの組み合わせで、軽やかな抒情性漂う作品。

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 ガレやドーム兄弟のガラス器は札幌の近代美術館にもコレクションされていますし、諏訪の北沢美術館にも行ったことがありますが、ここでのナンシー派体験は街や建築も含めて、やはり格別なものがありました。

↓美術館の前のベンチで。

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帰途は近くからバスで駅まで戻り、スタニスラス広場に面したカフェで簡単ランチ。次の目的地ディジョンへ向かいました。2時間半の汽車の旅、車窓からはライン川の支流でしょうか蛇行して流れる川が見え隠れ。コンクリート護岸工事のまったくない自然のままの姿に感嘆でした。丘の上のお城や教会の眺め・・・フランスの田舎の美しさに目覚めた旅でした。

 ナンシーに続いてディジョンのホテルも決めていませんでしたので、(i)で予約してもらいました。手数料15Fにデポジットが10%。ホテルは駅から数分歩いたサン・ベニューニュ大聖堂の近くのオステルリー(料理宿)。シャポールージュ(司教の赤い帽子)とは司教館のあったところなのでしょうか?まだロマネスクに興味のない時(知らない時)でしたから、お隣のロマネスク様式を残す大聖堂にも足が向きません・・・後程大層悔しい思いをしました。夕食はホテルのレストランで。グルメ御用達の店らしく満席でしたが、英語圏からのお客さんも多いのに、英語を話せるソムリエは独りだけなので、オーダーがなかなか回ってきません。食前酒とブルゴーニュの白、ひとり190Fのコース(安い方)をいただきました。

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 ところが、食べ過ぎ飲み過ぎに疲れもあったのでしょう。夜中に下痢が始まり、ほとんど眠れないまま朝を迎えました。


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1996初秋の旅(5)ストラスブール~ナンシー [1996初秋ヨーロッパ鉄道の旅]

9/4(水)Strasbourg12:20→Nancy13:33

ナンシー/グランドホテル・ドゥ・ラ・レーヌ1泊

 昨日は疲れと昼間のビールがたたって、2つの美術館巡りは今日に延ばしてしまったのです。ところがロアン城のミュゼは休館日が今日だったのです(涙)うっかりミスでしたが、気を取り直して、ウーブル・ノートルダム美術館へ。オープンと同時に入館したのですが、ここはフランスですから、当然?お釣りの用意がありません。見学前に小冊子や絵葉書など購入してようやく、入れていただけました。

☆ウーブル・ノートルダム美術館Musée de l'Œuvre Notre-Dame(初)

 大聖堂の扉口を飾っていた彫刻など、11世紀からのオリジナルに加えて、17世紀までのストラスブールや上部ライン川で活躍した画家たちの作品も展示されています。初めの部屋はロマネスクの彫刻群が並んでいました。それらに興味を覚えたのはここが初めてだったかも知れません。ただどんなものを見たのかは具体的に覚えていないのですが・・・。

↓強烈な印象のこの目隠しされた女性像「La Synagogue」

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↓大聖堂の扉口を飾っていた彫刻も素晴らしい~!

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 ↓回廊の通路に看板のように無造作に立てかけられていたヴィッツの「聖カタリナとマグダラのマリア」。ここに来る前にバーゼルで祭壇画などを見てきたばかりでしたので、思わず「ここにもあった!」と駆け寄りました(笑)。もとは「聖母の祭壇画」のうちの翼部外面。

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↓セバスティアン・ストッスコップフ「五感あるいは夏」Sebastien Stoskopff(1597~16??)ストッスコップフはストラスブール生まれのマニエリスムの画家。
澁澤龍彦の「空想美術館」のなかで紹介されています。「四大あるいは冬」という絵と対に展示され、
それぞれ真横から見た女の顔に楽器や花、地球儀などが描かれています。特別謎めいた作品ではないものの、フランドルの室内画の影響を受けながらもフランス風な雰囲気が服装からも伺え、興味深く鑑賞しました。

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↓同じくストッスコップフの「Corbeille de verres」1644 この繊細さと危うさ!一種のヴァニタス画なのでしょう。

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↓ハンス・バルドゥング(通称グリン)「垣根の聖母子」1539頃 一風変わった宗教画を描くことで有名な画家。この聖母も流し目が色っぽいのです。天使たちもあまり可愛くないし・・・。

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澁澤龍彦の著書では確かここにグリューネヴァルトの小品が何点かあるということでしたが、
係員に尋ねても不明で、一点も見つけることはできませんでした。帰国後「朝日美術館グリューネヴァルト」で調べてみました。全63点が記載されているのですが、やはりウーブル・ノートルダム美術館収蔵のものはありません。澁澤がここを訪れた時になにか特別展があって、勘違いされたのかもしれません。

 お昼の列車でストラスブールから西へ、ナンシーに向かいました。駅で購入したサンドイッチなどで車内ランチ。ナンシー駅からは(i)のあるスタニスラス広場へ。今夜の宿はまだ決めていませんでした。(i)で習いたてのフランス語を使ってみたのですが、英語で返答されました(笑)。広場に面した由緒ある建物のグランドホテル・ド・ラ・レーヌに幸い空室があってラッキー!1泊580F (その時のレートで12,000円くらい)でした。部屋は広場に面していない裏側の暗い狭い部屋でしたが、バスルームは広くて猫脚のバスタブつきでした。

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 スタニスラス広場はロココ様式で、面した建物はすべて統一されて華麗です。ロココはあまり好きではありませんが、ここは別格です。↓ネプチューンの門で

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大公宮殿からプチトランに乗って、この近辺を巡りました。ナンシーはロココの町でもあり、のちに引き継がれていくアールヌーボーの町でもあるのです。

↓夕食はホテルのレストランで。

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窓の向こうに見えるのが隣のナンシー歌劇場です。覗いてみましたが改装中?のようでした。いわゆる堂々とした大劇場ではなく、小ぶりながら華麗な館風劇場、素敵です。いつか来ることがあれば必ずここでオペラを観たいと夢みるおばさんでした。

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 お料理に合わせたワインつきで230Fのムニュ。アルザスから鉄道1時間でドイツ語は聞こえてきませんし、お料理もフレンチ!で美味。広場もライトアップされて綺麗でした。酔い覚ましにふらふら散歩

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↓後方右が歌劇場。門を隔てて左が(i)

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