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1996初秋の旅(14)マドリード [1996初秋ヨーロッパ鉄道の旅]

9/13(金)

 今日は美術館フリークの私にとっては憧れというか必須のプラド美術館へ。一昨年のルーブルと違って、1日中とはいえ疲れたら目の前のホテルに戻って休息できる態勢をとり、万全(笑)です。実際は館内のランチの後にホテルに戻って、1時間ほど午睡してからまた舞い戻って(手にスタンプしてもらうと再入館でもOK)たっぷり堪能できました。基本的に次女とはここに限らず美術館では入館したら別行動なので、自分のペースで歩けました。

↓正面入り口のベラスケス像の前で

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☆プラド美術館Museo del Prado(初)

スペインの誇る世界屈指の大美術館です。しかも他のヨーロッパの大規模の美術館とは違って略奪品や盗品が一切ないというのも誇らしいです。建物は1818年に完成し、翌年王立美術館として開館。コレクションは15世紀のレコンキスタ(国土回復運動)完了以後の王室の収集品を母体としています。そのため宮廷色、宗教色の濃い作品が多いのが特色。特にゴヤは400点以上もの膨大なコレクションを誇っています。

ベラスケス、ムリーリョ、ゴヤ、スルバランなどのスペイン人の画家たちは特に素晴らしい作品ぞろいで、もう眩暈しそうでした。今年はゴヤの生誕250周年に当たり、特に充実した展示になっていました。他にイタリアルネッサンスのフラ・アンジェリコやマンテーニャ、フランドルのウェイデンやメムリンク、ボス、ドイツのデュラーなど。

↓ベラスケス「ラス・メニーナス/女官たち」1656 318×276 ベラスケスのライフワークでもあった集団肖像画のなかでも傑出した大作。観ている私も画面に引き込まれそうになるほどの3次元的な画面構成。

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↓ゴヤ「着衣のマハ」1800-3頃 95×190 「裸のマハ」より数年後に描かれたと推定されています。モデルは宰相ゴドイの愛人とか。

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↓ゴヤ「吹雪」1786-87 275×293 ゴヤのこの時期の風俗画は王立タペスリー工場のための下絵で、計68点の原寸大のものを制作したうちの一枚。他に「日傘」や「藁人形遊び」など。他に戦争画や黒いシリーズなど多岐にわたるテーマ。何を描いてもゴヤ・・・ただただ感嘆。

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↓ムリーリョ「無原罪の御宿り/エル・エスコリアールの」1660-65頃 206×144 光に溶ける黄金色を背景に聖母マリアの際立つ清く美しい乙女の姿。信仰心にあふれた名画です。このテーマではムリーリョは抜群の人気があり、プラドだけでも3点が展示されていました。

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私的には世俗の恵まれない子供たちを描いた作品に感銘を受けたのですが、そのテーマのものはプラドには1点もありません。自国の恥と思ったのでしょうか?海外に流出してしまいました。ルーヴルやミュンヘンのアルテ・ピナコテークで観ることができます。

↓フラ・アンジェリコ「受胎告知」1430-32頃 194×194

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↓ウェイデン「十字架降下」1443以前 220×262

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↓カラヴァッジョ「ダヴィデ」1599頃 110×91 真作ではないという研究者も多い作品ですが・・・。

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 夜はホテルで予約してもらった「フラメンコ・ディナー」へ。

 食事は8時ころから始まり、ショーは9時から12時過ぎまで観ましたが、まだまだ後から出てくるダンサーが素晴らしいよと引き留められましたが、眠くてギブ・アップ。タクシーを呼んでもらって帰りました。結局ホテルに戻ったのは1時過ぎになってしまいました。

↓フラメンコの本物を観たのは初めてでしたが、ダンサーも情熱的なスペイン美人ばかり(当たり前 笑)。それに哀感にみちた歌とギターの調べに酔いました。写真に写っている年配のおじさんがとてもいい声!

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 ぐったり疲れて、入浴もパスしてベットに倒れこみました。

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1996初秋の旅(13)バルセロナ~マドリード [1996初秋ヨーロッパ鉄道の旅]

9/12(木)Barcelona Sants8:30→Madrid Chamartin14:55(talgo Triana号)

マドリード/パラスホテル4泊

 雨の朝、観るべきものが見られなかった不完全燃焼のバルセロナを出発して、旅の最終目的地マドリードに向かいました。現在は新しいラインができて、3時間足らずでバルセロナとマドリードを結んでいますが、1996年当時はなんと!倍以上の6時間半もかかりました。

↓座席指定は出発前に予約済み(10USドル)。乗車券はユーロ・パスに含まれています。

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 サンツ駅までタクシーに乗ったのですが、運転手さんはマドリードまでなら飛行機で1時間だよと不思議そうでした。サンツ駅は地下のホームまでエレベーターがありました。いつのまにか雨も上がり車窓からは赤い土の大地に灌木というアフリカ的風景が広がります。大きな町の駅に着くたびに、乗り降りが激しくなって、バルセロナからマドリードまで通しで乗る人は少数派だったようです。1等車でしたが、ほぼ満席状態だったので、予約してきたのは正解でした。ランチは車内のシート・サービスで済ませましたが、不味くて口が曲りそ~。長い汽車旅には東京から北海道まで帰郷の折に20数時間と慣れていますから、列車は大好きですし私はさほど苦痛ではありませんでしたが、最後はやはり疲れました。次女はほとんど眠っていたとはいえ辛かったようです。マドリードに着いて、よたよたと降り立った私たち。

 マドリードのホテルはこの旅では唯一の5☆。プラド美術館近くの立地で選んだのですが、さすがに素晴らしい建物でドームの下はゆったりしたロビーやレストランになっていました。長い汽車旅の疲れも飛びました。そのうえ、むむ・・・ロエペのショップもあるぅ。

↓ホテル(2枚とも絵葉書です)

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 ひと休みしたあとの夕方近く、徒歩15分ほどのスペインの誇る現代アートの殿堂へ。

☆ソフィア王妃芸術センター Museo National Centro de Arte Reina Sofia(初

 もとは18世紀の総合病院だった建物を1980年に内部をモダンに改修し、1986年に開館。建物正面のガラス張りのエレベーターに乗って、まずはピカソの大作「ゲルニカ」の展示室へ。

旅の直前にたまたまテレビで放映されていたこの大作は防弾ガラスに守られていたのですが、訪れた時は特別展?だったのかしら、部屋の中央にデンと据え置かれ、両脇を屈強な銃を持った兵士にガードされての展示になっていました。

ピカソの絵画に初めて感動したのは、まだ美術にそれほど関心の無い時でした。地元のデパートで開催されたピカソ展で観た「闘牛場にて」。闘牛そのものではなくそれを観ているさまざまな観客たちの絵で、画面からあふれんばかりの迫力に驚いたものです。「アートは爆発だ」そのころ流行っていた岡本太郎の言葉、そのもの・・・私の心のなかで何かが、爆発したのかも知れないです。以後そんなこんな・・・色々あって、ピカソの「ゲルニカ」は本物を観たいと長年憧れていた作品でした。あまりにも思い入れが強すぎて、気持ちが上滑りしてしまった感はありましたが、この超大作にこめられたメッセージ、芸術家としてどうしても伝えたいとの意気込みが、周囲に並べられた推敲を重ねた習作デッサンの数々からも充分伝わってきました。この作品はファシズムの圧政に苦しんだスペインの人々の記憶だけではなく、今も世界中の戦いや苦難の底にあえぐ人々が存在していることを告発しているのです。この絵を前にするとモノクロで表されたゲルニカの悲劇の向こうにあるものを透視せざるを得ない状態になるのです。言葉で表せない多くのものを確かに視て、悲痛な声も聴こえたように思います。生涯忘れないピカソ体験になりました。

そんな状態でしたから、ほかの作品はどうしても記憶が薄くなってしまいますが、ダリの「窓辺にたたずむ少女」は印象に残っています。ダリの作品ではプレ・シュルレアリスムに位置する作品。ほかの多くのダリの作品に選ばれるシュールな主題に関係なく、背後に広がる風景がなんともいえなく好ましいのです。この絵にもスペインの港町カダケスが窓外に描かれています。(絵葉書)

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 他にはミロ、タンギー、マグリットなど。閉館近くまで鑑賞。

↓ソフィア王妃美術センター前と中庭にて

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夕食は和食のサントリーで。ミラノの半額でコース料理も食べられ、空席も多く予約なしでもOKでした。帰りのタクシーはパラスホテルと言ったのにプラザホテルに連れて行かれ、謝りもしないので、わざとかも・・・怒。スペイン語ができないので、トラブルがあった時はやはり困ります。明日からまた気を引き締めましょう。


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1996初秋の旅(12)バルセロナ [1996初秋ヨーロッパ鉄道の旅]

9/11(水)

 朝、ホテルの窓から見える小さな広場が異常に騒がしく、デモ?・・・多くの人々が黄色と赤のカタルーニャの旗を手に騒いでいます。観ているとTV中継車や警察の姿も・・・。後から分かったことですが、この日の9月11日は「カタルーニャの日」だったのです。300年くらい前にフィリッペ5世によって、カタルーニャがスペインに統合された日でした。この広場にその抵抗の戦いで活躍した将軍(ラファエル・カザノバ)の銅像が建っていて、カタルーニャの独立運動のデモ隊の出発点になっているそうです。なかには警官に追われている人も出てびっくり!でも大半はパレードのようなお祭り騒ぎのようにも見えました。

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 この時点では美術館やガウディの建築物も2時までとは知らず・・・あちこち行ったのに空振りが多くて、ついていないバルセロナでした。乗り降り自由の観光バスで、グエル公園~カタルーニャ広場~ランブラス通りなど巡りましたが、バスの待ち時間が長くて効率が悪く、疲れました。

↓グエル公園にて

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ランチはピカソ美術館のレストラン(美味しかったので)へ再度行ってみました。カタルーニャ風のスープや烏賊のソース煮、スペイン風オムレツなど。まずまずのお味でした。

↓彫像のように動かないパフォーーマンスなどで大賑わいのランブラス通り。リセウ劇場は大改装中。↓グエル邸もクローズ

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そして↓モンジェックの丘のカタルーニャ美術館へ。当時は丘を登るエスカレーターはなかったと記憶しています。

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長い階段を上って、ようやく館内に入ったのですが、すでに時間切れ。ホールのショップだけはオープンしていましたが、とてもとても残念でした。心残りの多いバルセロナ・・・。

↓カタルーニャ美術館ホール上部のパイプオルガン。

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 夕食はホテルのレストランで、フィッシャーマン風スープやサーモンのカルパッチョで軽めに済ませました。明日はマドリードに向かいます。まだバルセロナとの間の新幹線ができていない頃でしたから、長距離列車に乗ります。荷物の整理をして就寝。

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タグ:バルセロナ

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